一期一会 ~未来からの贈り物~
『昂くん』その名前に敏感に反応してしまった私は、そっと辺りを見回した。
昂くん、って隣の彼の名前。
それに、あの甘ったるい声で彼の名前を呼ぶ人は…
手にした本を売り場に戻した直後、私の大好きな人の声がした。
「あれ、…ミナモ?」
「……」
背を向け見つかる前に逃げ出そうと思ったのに、一足遅かったのか隣の彼、昂くんに見つかってしまった。
「ミナモも彼とデート?」
昂くんはそう言いながらわたしたちに近付いてくる。
そ、そうだ。今日は隣にこいつがいたんだ。
変な誤解を昂くんにされてしまったのと、隣の琉司の存在に私の頭の中をパニックを起こし始めていた。