一期一会 ~未来からの贈り物~
「こ…昂くんは、彼女と…?」
「うん、ちょっと買いたいものがあったからな」
昂くんはそう言うと、片手に持っていたビニール袋を目の高さまで持ち上げた。
それは…、何?
そう聞きたいけど、けど聞くことが出来なかった。
もう片方の腕には女の子が、昂くんの彼女が凄い形相で睨んでいるから。
たから私はその台詞を呑み込み、黙り込んでしまった。
「ミナモ、ちょっと…」
この時そう琉司が私を呼び掛けてくれたので、その場はどうにか収まったけど、
本当、タイミングわるいな。
私は昂くんに、「じゃあ」なんて軽く手を振って琉司の後を追った。
当の琉司はと言えば、
雑誌コーナーで堂々とエロ本を立ち読み中。
そんな琉司に呆れたけど、さっきは助けて貰ったから、お礼を言わなきゃ。
「…琉司」
恥ずかしいから小声で呼んだ。
けど、気付いてくれない。
だからもう一度。
「琉司!!」