一期一会 ~未来からの贈り物~
「はぁ、っーか何?」
不機嫌そうな琉司の声が耳に届いた。
だから素直に『ありがとう』なんて言えない。
私は昂くん達の様子を伺いながら「もう用事すんだから…」と琉司に告げだ。
昂くん達はこの後どうするんだろ?
また帰り道で鉢合わせは避けたいから、だから私は琉司を急かした。
「なぁ、ミナモももう帰るのか?」
ほんの少し琉司と小競り合いしていると、昂くんが声を掛けてきた。
「えーと、そうだけど…」
昂くんの後ろには彼女の姿はない。
キョロキョロ辺りを見渡すと、彼女は今レジに並んでいるみたいだ。
「だったら同じ方向だから一緒に帰るか?」
「えーっと、…いいよ。遠慮しとく…」
「なんで?」
「な…なんでって…」
昂くんは本当に不思議そうな顔してそう私に問う。
でも……、
昂くんの彼女はきっと嫌な顔するよ。
それが分かってるから、私は遠慮してるのに、
昂くんは彼女のその気持ちに気付いてない。