一期一会 ~未来からの贈り物~
大好きな人に誘われて嬉しい筈なのに、物凄く今の私は戸惑っている。
そんな私に気付いた琉司が素早く私の手を握る。
「先輩、俺がミナモ送ってくんで心配しないで下さい。
彼女さん、あっちで待ってますよ」
そうあっさりと昂くん交わしてくれた琉司。
私はそんな琉司の隣で躊躇いながらも、頬を赤く染めていた。
「…ああ、分かってる。ただミナモと帰り道一緒だから…。
悪かったな。
じゃあな、ミナモ」
昂くんが少し寂しそうな表情で、そんな台詞を残し去っていく。
その背中を見送って、私は琉司に握られた手をそっと離した。
「ありがとう…琉司。
ごめんね」
小さく彼の背中に隠れるように呟いた。
少し前には昂くんと彼女がいる。
嫌でも目につく二人の姿を、私は琉司の背中に隠れ見ない振りをした。