一期一会 ~未来からの贈り物~



彼の姿を見付けるのと同時に、琉司の声が私の意識を呼び起こさせる。



私は一瞬惚けていたが、その声にはっとし我に返った。



「ご、ごめん。今行く!」



そう叫んだけど上手く足が動かない。



久しぶりに彼の姿を見付けてしまい、あの忌まわしい記憶よりも淡い思いの方が勝ってしまい、だからなかなか動けない。



もう少しだけ、彼の姿を目に焼き付けたい。



焼き付けたいけど……。



そんな立ち止まったままの私の元に、心配顔の琉司が近付いて来た。




「……早く、行こ」



いつもの声より若干低い声音にびっくりして琉司を見れば、もの悲しげな表情を湛えていた。



「ど、どうしたの?」



そう琉司に問えば、私の手をギュッと握り締め、足早に歩きだした。




ーーどうしたんだろ?琉司……


< 43 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop