竜王様のお約束
「ごめん!ごめんな!ヤヨイ。」


「ううん。やっぱり私の思い違いね。
ハクリュウの言う通り、リョクが近くに居る訳ないのにね。
リョクの話をしたから、ちょっと恋しくなっちゃっただけ。」


ヤヨイは自分に言い聞かせるように、そう言って笑った。
でもやはり、まだリョクが近くに居るのではないかという感覚は抜けず、なんとなく気持ちがソワソワしてしまう。


あまり両親の愛というものを知らずに育ったヤヨイは、親として自分の精一杯の愛を娘に注いできた。
この先もし、リョクに妹か弟ができたとしても、同じように愛してあげたいと思う。
人並み以上に子供に対する想いが強いからだろうか、ヤヨイは本能で敏感にリョクの気配を察知していたのだ。


でもやはり『まさかリョクが天界に居るなんて』という思いがあるのも正直なところだった。
ヤヨイが納得しかけたその時である。


「・・・!?」


突然ピクリと動いたヤヨイの体を、ハクリュウは見逃さなかった。


「ヤヨイどうした?」


ハクリュウは両手でヤヨイの頬を包む。


「声が聞こえた。」


「え?」


「リョク、やっぱり居るのよ!!」
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