竜王様のお約束
ハクリュウは方膝をついて、その場にしゃがみ、リョクの頭を撫でた。


「かーたま、コウおじたんと、おはなしあいます。」


「コウリュウが来てるのか?」


「だいじの、おはなします。
だからリョクは、いいこしてるなの。」


リョクはエヘンと胸を張って、ハクリュウに教えた。


「そうか。
リョクは偉いな。」


思いきり目尻を下げて、愛しい我が子を抱きしめ、リョクの手に桃を1つ乗せると、ハクリュウはヤヨイの元へと向かったのだが。


その表情は一変し、いささか不機嫌さを帯びている。


例えコウリュウが血の繋がった実の弟とはいえ、自分が同席していない部屋にヤヨイと2人きりで居る事は、ハクリュウにとって到底許せるものではなかったのだ。


バタンッ!!


客間の扉が、勢いよく押し開けられると、中に居た2人はびっくりして、同時にこちらを向いた。


「お前達、何をしておる!
今すぐ離れぬか!」


離れるも何も、応接テーブルを挟み、向かい合って座っていただけのヤヨイとコウリュウに、これ以上離れる術などない。


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