竜王様のお約束
乱暴に入室してきた人物に、抗議の声をあげたのはコウリュウであった。


「何をしておるって・・・。
兄上、どんな想像してるんですか。」


そんな呆れたコウリュウとは対照的に、一目見てすぐに分かるほど、ヤヨイは嬉しそうな表情をしていて、それは非常にハクリュウの勘に障った。


「見よ。ヤヨイがこんなに嬉しがっているではないか。
何をしておった?」


ハクリュウは、それすらも気になって仕方がないのだ。


「ハクリュウ待ってたの。」


にっこりと微笑んだヤヨイは、ソファーから立ち上がり、ピョンピョンと跳び跳ねてハクリュウの腕を取った。


「・・・どうしたのだ?」


息巻いていたハクリュウの感情はどこへやら、自分の腕にヤヨイの腕が絡むと、コロッと笑顔になり、理由を聞くためにソファーに腰かける。


『兄上の溺愛ぶりにも、益々拍車がかかったな。
以前の冷酷な竜王陛下は、どこへ消えてしまったんだ。』


コウリュウは、目の前の2人を見て、クスっと笑いが込み上げた。


「コホン・・・。
して?何事があったのだ。」


コウリュウに笑われた事に気づき、ハクリュウは咳払いと共に、場の空気を変えた。


< 5 / 257 >

この作品をシェア

pagetop