竜王様のお約束
「龍は皆、気高き漆黒の瞳を持って、生まれる。
僕も然り。ハクリュウ王も然り。
コウリュウだって、コクリュウだって、龍の一族は皆、一様に黒い瞳を持ってる。
だけど、コハクは違った。
神秘的に透き通る、琥珀色の瞳を持ってた。
そんなコハクは・・・清楚で、可憐で、上品で。
僕にこそ、相応しい龍だと確信した。
シリュウなんかは、薄気味悪いと敬遠していたけど、僕はその純粋な澄んだ瞳を、側に居いてやってもいいと思ったんだ。
コハクはこの僕の眼鏡に、適ったんだよ。
コハクにとってそれは、とても光栄な事のはずだ。
なのに・・・。」


饒舌に語っていたキリュウは、そこまで話すと口をつぐんだ。


ヤヨイは言葉を止めたキリュウが、何か言いだすのを待つ。


1分・・・2分・・・。


天界に時間の観念は余りないのだが、多分そのくらいヤヨイは待った。


「なのに・・・」


言いにくそうに、キリュウがポツリと再開した。


「なのに?」


もどかしそうにヤヨイは、キリュウの次の言葉を促してみる。
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