竜王様のお約束
「そなたは、真面目すぎて柔軟さに欠ける。
もう少し、他の者を疑ってかからぬと、痛い目を見ようぞ。」

とは、ハクリュウから賜った、ありがたいお言葉なのであるが、そもそもコクリュウは、自分のどの辺が真面目すぎるのか分析できていないのだから、どうもこうもならない。


コクリュウはひんやりとした審議の間で、考えを巡らせる。


『キリュウの言葉を疑わなかった、自分の落ち度であろうか?
それとも、コウリュウ様を試すような事をしたから、その罰があたったのか?
シリュウの媚薬の吐息を浴びたとはいえ、人間界に姿を現してしまったのも罪に値するのか?
いや・・・何よりヤヨイ様を天界へと連れて来た事への、ハクリュウ様の大激怒。
決して許しては、もらえないだろう。』


コクリュウは、勝手に自分の未来を想像して、深いため息を吐いた。


そんな悲観に暮れていたコクリュウの耳に、騒がしい声が届いてきて、審議の間の扉が開かれた。
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