竜王様のお約束
ハクリュウは、自分にしがみつくヤヨイの頭に静かに手を乗せて、優しく髪をすいた。


「ヤヨイは優しいな。
でも、こういう輩に隙を見せてはダメなんだ。
付け上がり、暴走し、挙句竜王さえも、敬わなくなる。
竜王は、唯一無二の存在でなければ、天界が乱れる元だ。
俺がずっと孤独で居たのは、そのためなんだよ。
竜王の意に逆らう者に、容赦は要らない。
ヤヨイには手を出すなと、俺は言った筈だ。」


キリュウは、今まで見た事もない、ハクリュウの穏和な表情に、驚きを隠せない。


「ばかな、たかが人間一人のために・・・」


キリュウが吐き捨てたその呟きは、充分にハクリュウを刺激するに値する台詞であった。


「たかが?」


ハクリュウはスッと目を細め、真っ直ぐに掌をキリュウに向けると、何かを引き寄せるように、クイっと指先を曲げた。


それを合図に、黄色い煙がキリュウの体からモヤモヤと溢れだし、それはそのままハクリュウの掌へと、吸い込まれて行く。
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