竜王様のお約束
そこまでを、ハクリュウが言い終えるか終えないかの間際、ドンドンドンと激しく部屋の扉が叩かれ、そして許可を待たずにそれは、開け放たれた。


「兄上!逃がしませんよ!
また私にそんな厄介事を押しつけようだなんて、ごめん被ります!」


勢いよく入室してきたのは、体全体に怒りのオーラをまとった、コウリュウであった。


「丁度兄上の部屋に来たら、聞こえてきたんです。
ふぅ・・・危ない所でした。
コクリュウを味方につけて、天界からさっさと消えようだなんて、虫がよすぎますよ。
今回はきちんとけじめをつけて行って下さいね、兄上。」


「いや・・・。
コウリュウなら、そういう細々した事務処理は、的確に出来るではないか。
我は人間界に戻らねばならぬのだ。
元はと言えば、そなたらの、不始末ではないか。
ヤヨイがここへ来なければ、我も来はしなかったのだ。」


ハクリュウは、いつになく物腰柔らかに、コウリュウに言ってみた。


急に始まった、兄弟の言い合いに、コクリュウはただただ驚くしかない。


ヤヨイは、また始まったと言いたげに、困った顔をした。
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