H.+ (エイチプラス)
服を着替え、髪をセットする。

七海と色違いのワンピースにお揃いのアクセサリー。

よく考えたら、私の持ち物はほとんど七海とお揃いだったり七海から貰った物だったり・・・。

気付かないうちに、私の回りは七海で溢れてた・・・。


「・・・おい!早くしろよ!バスの時間があんだって!」


待ちくたびれたのか、裕也はドンドンと強く部屋の扉を叩き始めた。


「今、行くって」


まだ私の気持ちは不安定で、たまにあの日の記憶が突然頭を過ぎる。

・・・ねえ、七海。

私はさ、七海が消えた事を認めたくなかっただけなのかも知れない・・・。

嫌な記憶だけを消そうとして、無理矢理七海をこの世界に作り出そうとしてた。

でも・・・、七海は消えたりしないよな?

心はいつでもこの場所にあるんだもんな・・・?

カチャっと部屋の扉を開けると、呆れた様子の裕也は困った様に笑って立っていた。


「行こう、裕也。七海が待ってる・・・」


時間がかかるけど逢いに行くよ。

君は私の、大切な人だから――・・・。



2008.04.18

End
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