魔物は其処に
「このままだと寝ちゃいそうだから、私、本探してくるね」
立ち上がりかけると「俺も」という声が対面から聞こえた。
「本見てくるわ」
「え、結弦(ゆづる)もかよ」
「悪いな。俺、本探すの苦手だから、村尾に手伝ってもらおうかと思って」
そう言ってから、彼は私に「いい?」と訊いた。
頷いて彼を見れば、いつもとは違う視線が、私の瞳に触れる。
「貸出料は高いぞー」
少しの不満と、冗談が入り交じった湊の言葉で、固まりかけていた体から力が抜けた。