魔物は其処に


「このままだと寝ちゃいそうだから、私、本探してくるね」


立ち上がりかけると「俺も」という声が対面から聞こえた。


「本見てくるわ」

「え、結弦(ゆづる)もかよ」

「悪いな。俺、本探すの苦手だから、村尾に手伝ってもらおうかと思って」


そう言ってから、彼は私に「いい?」と訊いた。

頷いて彼を見れば、いつもとは違う視線が、私の瞳に触れる。



「貸出料は高いぞー」


少しの不満と、冗談が入り交じった湊の言葉で、固まりかけていた体から力が抜けた。


< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop