恋の扉をこじあけろ

「右と左じゃ、やっぱり左が動いてないのは明らかなんだけどねー。まだ、あんまり開かないよね?」


「うーん、ちょっとは開く気はしますけど…」


試しに口を開いてみると、先生が指を突っ込んだ。

前は指二本分できつい感じだったけど、今回は三本は入らないまでも余裕ができた気がする。


「開かないとやっぱり不便だよなぁ」


指を引き抜きながらしみじみと言った先生に、そうなんです!と訴えた。


「一番はやっぱり食事です。ハンバーガー、ちゃんと食べられなくて潰して食べるしかないんですから」


「潰してまで食べようとする牧原さんに脱帽」


先生は本当に脱帽した。


久々の帽子なしの姿にときめいているわたしをよそに、わたしのアゴに手を当てて、首を傾げた。

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