恋の扉をこじあけろ
とりあえず言われたとおりに急いで大学まで戻ってみると、冬実は学食でちゃんと待っていた。
ちょこんと座っている彼女の前にはカフェプレートがあって、わたしの分まで置いてある。
わたしが席につくと、冬実は腕組みをしてわたしを真っ直ぐ見てきた。
「さあ、話を聞かせろ」
冬実の剣幕に押されて、後ろにのけ反った。
「冬実、講義があるんじゃなかったの?終わったあとでも…」
「いてもいなくても変わらない講義だからいいの。私、頭いいし」
そうですか。
しびれを切らしたらしく、身を乗り出してきた。
「で?どうしてクリスマスに会えるって?まさかデートなわけ?」
「まさか。診察日なの」
冬実はなーんだ、と言いながらつまらなそうに背もたれに背中を預けた。
「そんなことで浮かれてたの?」
わたしはぶんぶん首を横に振った。
ついでにテーブルをばしばしと叩く。