恋の扉をこじあけろ
「それだけじゃないんだって!的井先生、彼女いないんだって!」
「聞いたの?琴乃が?」
「そう、流れで」
「へえ、見直したよ、琴乃」
目をまるくして感心する冬実に気を良くして病院での先生との会話を詳しく話すと、冬実は気に入らないことがあったらしく口を尖らせた。
「なんで自分も行かせてくれって言わなかったのよ」
「いや…、迷惑でしょ?」
冬実が気に入らないのは、先生が川崎さんと飲みだと言ったときに、わたしが参加したいと食いつかなかったことらしい。
まさかそんな図々しいこと…
「言ってみればよかったのにぃ。もったいなーい」
なんだかそうすればよかったような気分になってきて、少し落ち込んでカフェオレにちょびっと口をつけた。
冬実は口を尖らせていたが、何かをひらめいたらしく目をぱっと輝かせた。
「わかったよ。ふふん」
「何?どうしたの」
「わたしがクリスマスに川崎さんを飲みに誘う」
「え?」
「そうすれば、的井先生も来てくれるかも」
得意げに胸をはる冬実に、感動した。
もし、そうだったら。
とてもわたしは幸せです。
あれ?
でも、クリスマスは。