恋の扉をこじあけろ
そのとき、部屋のドアがノックされて、お母さんが中に入ってきた。
「琴乃、晩御飯は…、あら冬実ちゃん!?」
「お邪魔してまーす」
お母さんは冬実がわたしの部屋にいることに驚いて目を見開いている。
「いつ来たの?全然気づかなかったわー」
当たり前だ。
冬実はわたしの部屋の窓から入ってきたんだから。
「冬実ちゃん、晩御飯食べてく?」
「ありがとう、でも私もう帰るから。お邪魔しました!」
冬実はすくっと立ち上がって、わたしの背中叩いた。
「またね、琴乃」
そう言い残して、今度はきちんと正攻法で出て行った。
お母さんは冬実が手にしていたパンプスを不思議そうに目で追っていたけど何も言わなかった。