恋の扉をこじあけろ
「久しぶり…、琴乃」
「う、うん…」
久しぶりに聞く彼の声に、わたしは俯きながら答えた。
姿を見るのは高校の卒業式以来。
だいぶ雰囲気が変わっていてすぐにはわからなかった。
だけど、声は確かに…幸宏のもの。
「何が久しぶりよ。なれなれしい」
冬実がトゲをたっぷり含ませながら言葉を放ち、幸宏はちょっとだけ肩をすくませた。
ゆかりがちょっとー、と声をあげる。
「もしかして知り合い?置いてかないでよー」
「知り合いじゃないわよ。敵よ」
冬実がキッと睨んでいるにも関わらず、幸宏は苦笑しながら一番端の席に座った。
即ち、わたしの前の席に。
それを見て信じられないとばかりに冬実が声をあげた。