恋の扉をこじあけろ
「ちょっと?どういうつもりなの?琴乃のとこに座るなんて信じられないんだけど」
「琴乃と話がしたいんだ。今日だけ、見逃してくれ冬実さん」
幸宏は手をあわせて冬実に許しを請うた。
冬実さん、と呼ばれて怯んだのか、冬実は口を閉ざした。
代わりに、いいの?
とでも言いたげにわたしのほうを窺ってきた。
冬実はわたしを、いつも守ろうとしてくれる。
わたしは冬実に、そっと頷いた。
「いいの」
冬実は納得がいかないらしくじっとわたしを見ていたけど、やがてため息をついて前を向いた。