恋の扉をこじあけろ
わたしがこっそり恥ずかしがっている間に、先生はスプリントを洗って、透明な袋にいれてくれた。
「これを夜、寝るときにつけてね」
こくんと頷きながら、スプリントを受け取った。
手にしてみると、思っていたより小さなスプリント。
わたしのアゴって、こんなに小さいんだ……
わたしっていうか、人のアゴっていうか。
「つけないときは、水の中につけといて。変形したりすることあるから」
水の中に…?
想像して、ちょっと笑ってしまった。
なんか、入れ歯みたい。
「今日はこれで終わりです。ああ、それと」
パソコンでわたしの予約を入れていた先生が、くるりとこちらを向いた。
「あんまり変なものは口にいれないようにね」
「いれませんっ」