恋影
「……ククク、なるほど、女とはこれは面白い。坂本君達に一本取られたな!」
「……お、女だったとは……。」
笑い飛ばす男と、うなだれてしまう男。それぞれ、複雑な心境のようだ。
「それで、届けがないか確かめに来たんぜよ。」
「そうか、そうか!それは、おおいに探すといい!クククク…!」
かなり面白いものをみつけたように、笑い続ける。さすがに、苛立ってくる。
「…………。」
「それで、例の件はすんだのですか?」
話題を変えるように、武市が二人に話しかける。
「……まあな。それより、【小五郎】の奴はどうした?」
「探しに行ってもらっています。」
「お待たせしました。」
襖が開き桂が入って来る。
「おう、桂さん。どうじゃったかのう、見つかったか?」
「いや、それがいくら探しても、届けが出されていないんだよ。おそらく、まだ捜しているか、まだ出されていないか、なんじゃないかな…。」
「ほうか……。」
「なら、こいつはここで預かればいい!」
「?」
「!?」
「いきなり何を言い出すんだい晋作?」
高杉の衝撃的発言に全員が目を白黒とさせる。同じ長州の桂も、びっくりしている。
「こいつは迷子!そして、女だ!それなら、ここに置いといた方がいいってことだ!」
「言っていることが、めちゃくちゃだよ晋作。」
「ちょ、ちょっと待つぜよ高杉さん!こん娘を見つけたのはワシじゃあ!ワシがこん娘を保護するぜよ!!」
「保護だけなら、私の【薩摩藩邸】でも構わんのではないか?」
「【大久保】さんまで、何を言い出すんスか!」
桂のさりげないツッコミも虚しく、それぞれが自分達の主張を言い合ってしまう。
「そこまでにしろ!!」
「!」
「!?」
武市の一喝が飛び、皆がその場でピタリと止まる。
「……何処に世話になるかを決めるのは彼女だ。僕達が言うことではない。」
武市は白鳴に真剣な目を向ける。
「……君が決めるといい。何処に世話になろうと、君が困ることはないはずだ。」
「………私は……。」
武市さん達の所がいい、と言いたいが、皆の視線が気になってしまいなかなか言えない。
すると、高杉が立ち上がり白鳴の前へと来る。
「ほら、立て!」
「えっ…?」
「晋作?」