恋影



「……ククク、なるほど、女とはこれは面白い。坂本君達に一本取られたな!」


「……お、女だったとは……。」


笑い飛ばす男と、うなだれてしまう男。それぞれ、複雑な心境のようだ。


「それで、届けがないか確かめに来たんぜよ。」


「そうか、そうか!それは、おおいに探すといい!クククク…!」


かなり面白いものをみつけたように、笑い続ける。さすがに、苛立ってくる。


「…………。」


「それで、例の件はすんだのですか?」


話題を変えるように、武市が二人に話しかける。


「……まあな。それより、【小五郎】の奴はどうした?」


「探しに行ってもらっています。」


「お待たせしました。」


襖が開き桂が入って来る。


「おう、桂さん。どうじゃったかのう、見つかったか?」


「いや、それがいくら探しても、届けが出されていないんだよ。おそらく、まだ捜しているか、まだ出されていないか、なんじゃないかな…。」


「ほうか……。」


「なら、こいつはここで預かればいい!」

「?」


「!?」


「いきなり何を言い出すんだい晋作?」


高杉の衝撃的発言に全員が目を白黒とさせる。同じ長州の桂も、びっくりしている。


「こいつは迷子!そして、女だ!それなら、ここに置いといた方がいいってことだ!」


「言っていることが、めちゃくちゃだよ晋作。」


「ちょ、ちょっと待つぜよ高杉さん!こん娘を見つけたのはワシじゃあ!ワシがこん娘を保護するぜよ!!」


「保護だけなら、私の【薩摩藩邸】でも構わんのではないか?」


「【大久保】さんまで、何を言い出すんスか!」


桂のさりげないツッコミも虚しく、それぞれが自分達の主張を言い合ってしまう。


「そこまでにしろ!!」


「!」


「!?」


武市の一喝が飛び、皆がその場でピタリと止まる。


「……何処に世話になるかを決めるのは彼女だ。僕達が言うことではない。」


武市は白鳴に真剣な目を向ける。


「……君が決めるといい。何処に世話になろうと、君が困ることはないはずだ。」


「………私は……。」


武市さん達の所がいい、と言いたいが、皆の視線が気になってしまいなかなか言えない。


すると、高杉が立ち上がり白鳴の前へと来る。


「ほら、立て!」


「えっ…?」


「晋作?」


< 50 / 93 >

この作品をシェア

pagetop