恋影
「悩んでいても答えは出ん!なら、外に出て気分転換をしたほうがいい。」
「ちょっと待たないか!高杉君!私との話し合いは終わってないんだぞ!?」
「ああ、悪いな大久保さん!だが、こんなむさ苦しい所で、女一人考えさせんのは可哀相だろうが……!少し出かけさせて、考えたほうがいいんだ! ほら、行くぞ!!」
「あ、あの……!」
強引に腕を引かれて行く白鳴。振り返れば、龍馬達が呆然としていた。
「なんなんだ……、あの娘は?本当に娘なのか……?」
呆れて言葉にならない大久保。
「………。」
桂も呆けている。
「プッ、アハハハハ…!」
その空気を打ち破るかのように笑い出す龍馬。出て行ったのはいいが、あれでは童士を連れた何者だ。
それだけ、白鳴は格好も気にならないぐらいの女子だということだ。
「まあ、どうであれ、気分転換はもって来いじゃな。」
「まあ、そのうち戻ってくるだろう。」
「その間、僕達はお茶にでもして、話しの続きでもしておこう。」
白鳴のことは高杉に任せ、龍馬達は再び会合へと入った。
高杉に町に連れ出された白鳴は、高杉と共に町を歩いていた。
「やーー!やっぱり、外に出ると気持ちがいいな!」
両腕を頭で組んで伸びをしながら歩く高杉。久しぶりの町は、変わらず賑わいを見せていた。
見習いの時も、何度か町に出て来たが、こんな風に歩くのは始めてだ。
「あっ!」
「?」
突然、高杉が大声を出し立ち止まる。
「そういえば少し用があるんだった!悪いがお前はここで待っててくれないか?すぐに戻る。」
「はい。」
高杉は白鳴を残し、少し離れた店先へと入って行った。
白鳴は一人残され、建物の軒下へと入る。
女だと迷惑がかかると思い男装をしてきたが、やはり慣れないものである。
それに、武市は白鳴のことには気づいていないようだ。やはり、月日が立てば、いくら約束をしていても、忘れてしまうのだろうか?
自分が【猫人族】の薫子だと話せば、思い出すかもしれないが、武市達は大変なことをしている最中である。役に立つため、恩返しをするために来たのに、面倒に巻き込んでは本末転倒である。
だが、武市は一発で白鳴を女だと見抜き、女扱いをしてくれる。それはそれで嬉しいのだが、やはり簡単に見抜かれてしまうのは少々問題である。