恋影
夢……。
考えたこともなかったが、とりあえずは武市達のことをもっとよく知り、役に立てるようにしなければならない。
「ところで、沖田さんはどうしたの?さっきからいないみたいだけど?」
「総司か?あいつなら部屋にいると思うぜ。なんなら呼んで来てやろうか?」
「いや、いい。ただ、聞きたかっただけだから……。」
いないというだけで、少し寂しさを感じてしまう。
白鳴はお膳を片付ける。
「………なら、俺も行くとするか!それ、持ってってやるよ。」
「平助はいるか?」
「!」
「土方さん…!」
振り返ると不機嫌そうな土方が立っていた。
「すぐにそいつを広間へ連れて行け。処分を下す。」
「!」
それだけを言うと土方は去って行った。
処分ということは、白鳴が間者かそうでないかを判断するということだ。
「……行くぞ。」
平助と白鳴は土方の待つ広間へと向かった。
広間へ行くと、そこには土方と沖田が待っていた。
正座をして土方達の前に座る。
重苦しい空気が漂う。
「処分を下す前に、何個か質問するからそれに答えろ。いいな?」
「……はい。」
前に会った時も思ったが、土方の目つきには迫力がありずきる。
見ているだけで、何もかも見透かされてしまうような、そんな感じがして、背筋に冷たい汗が伝う。
とにかく、武市達のことを知られるわけにはいかない。そう決意を固める。
「坂本龍馬を知っているな?」
「……いいえ。」
「なら、坂本達の遺留場所を知っているのか?」
「知りません。」
「…………。」
ジッと見透かすようにして白鳴を見る土方。絶対にばれるわけにはいかない。白鳴も土方を見返す。
「……なら、いい。放免だ。」
「……え?」
思わず土方を見返す白鳴。
「やったな!これでお前は自由だ!!」
自由……?
と、いうことは無罪放免だということだ。
一気に肩の力が抜けてしまう。
「総司、平助。こいつを表まで連れて行ってやれ。」
「分かった!」
土方が立ち去った後も、自分のことのように喜ぶ平助と微笑む沖田。
改めて放免されたことを実感する白鳴。
これでまた、武市達の元へ戻れるのだ。
それから白鳴は沖田と平助に、捕まった場所へと連れて来てもらう。