恋影




「ただいま、戻りました。」


以蔵が開いていた襖から顔を出す。


「お帰りなさい。」


「わしらも帰ったぜよ!」


「ただいまーッス!ああーお腹空いたー!」


どやどやと部屋に入って来て、それぞれの場所に座る。


「ああーもう、腹が減って死にそうぜよ…!」


空になっているお腹を摩りながら、そっくり返る龍馬。


やはり大きな仕事をしているだけに、空腹もそれなりなのだろう。


それだけでも武市達がしている仕事は大変なのだと、思いしらされてしまう。


「なら私、皆さんの御膳を持って来ますね。」


「おう!頼むぜよ!白鳴さん。」


「あっ、俺手伝うッス!」


御膳を取りに行った白鳴に続いて、中岡も出ていく。


「中岡は元気じゃのう~。わしなんか、もう一歩も動けんぜよ。」


「すでに動いていないじゃないか。」


「それより龍馬。例の件はちゃんと話しがついたのか?」


「おう!」


龍馬は身体を起こし、その場に座り直す。


「近日中にも長州藩邸で高杉さんと話し合うことになった。わしらも参加するぜよ。」


ニカッと笑う龍馬。


今のところ龍馬達の思惑通りに事が進んでいるようだ。


長州と薩摩の同盟もそう遠くはない。


「そっか、それなら良かった。」


「それより武市、白鳴さんの捜し人は見つかったんか?」


「いや、見つかっていない。」


「そりゃあ大変ぜよ。何か手がかりになるようなものはないんか?」


「それらしい物があれば、とおに彼女が僕に見せているはずだ。それに、その人を知っているのは彼女だけだ。彼女の言葉を頼りに捜しているのだが……、なかなか見つからない…。」


「白鳴ちゃんはなんて言うたがじゃ?」


「青い着物を着ていて、長い髪を一つに束ねた男だそうだ。」


「……!」


「青い着物を着た男か……。なんか武市みたいじゃのう!」


「えっ?」


龍馬の言葉に驚く武市。以蔵も目を丸くしていた。


「だってほら、いつも青い着物を着とって、長い髪を結っとるではないか!」


そう言われて見ればそうだ。


以蔵は武市の姿を確認する。


武市は突拍子もないことを言われ戸惑う。


「ば、馬鹿を言うな!たまたま一緒だっただけだろ!私なわけないだろ!」


「ほうかのう?ま、なににせよ。まずはそんお人を捜してみらんとな!」


ニカッと笑う龍馬。


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