†captivity†(休載)
「ありがとうございました。緒方先輩がそこまで気遣ってくれてるとは思いませんでした」
「おい、余計なことまで言うな」
「本心です」
「コノヤロウ」
気付けば、気まずい思いなんて消えていた。
今まで通り、ただ先輩と後輩。
あたしたちは笑い合った。
その後、軽快な足音が近付いてきた。
そしてこの部屋の扉が開かれる。
「……和歌!」
「奏多くん!」
授業と清掃を終わらしてきただろう奏多くんが到着した。
そして。
「やっぱり拉致されたんだ」
ドアにもたれかかって偉そうに腕を組み、ニヤリと笑う東先輩まで登場した。
またあたしたち四人の関係が始まる。
大丈夫、なにも変わらない。
「そう、よかったね」
学校から帰り、知歌に今日のことを話すと、クールに返されてしまった。
「ちぇー知歌ならこの喜びを分かち合ってくれると思ったのに」
「そうだね。……変な気さえ持たれてなければ、俺だって喜んだよ」
「変な……気?」
「そいつら、まだ信じられないから」
そう言って知歌は笑った。