†captivity†(休載)


2人は数秒固まってから、じわじわ口を開いていきました。



「マジ?」

「はい」



先に言葉を発したのはすずちゃんでした。

和歌はもう既に、いっぱいいっぱいです。



「先輩?ってことはあの可愛い子ではないってことでしょう?え、まさかあの鬼畜と噂の」

「あのとんでもない形相で、和歌の頭を鷲掴みに来た……?」

「違う違う違う違う、恐れ多いわ」



そんなこと言ったら海に沈められそうだわ。

あたしは全力で否定した。

この場面ももし見られていたら殺されそうだけど。

肯定しようが否定しようが沈められそうだけど。



「えと、じゃああの……不良の先輩?噂でしか知らないけど」

「授業中に教室まで来て和歌連れてった先輩だよね……?」



どうやら、授業にも参加しない心くんでも、この学校では噂で知られているらしい。

しかし、歪んだ方向に。



「壁ぶっ壊した先輩?」

「夜な夜な喧嘩して回ってるこの辺りの支配者と噂の?」

「なんか金持ちらしくてマンションの最上階を貸し切ってるって噂の?」

「学校の上の人と繋がっててなんでもやりたい放題と噂の……」

「人何人か殺したんじゃなかった……?」

「いや、なにか強奪かなんかじゃなかった?」

「ちょっと待ってごめん、半分くらいデタラメだと思うけど半分否定出来ない」



あの人どんだけ噂に尾びれ胸びれ付けられてんの。

あたしは初めて聞いたその噂に顔を引き攣らせ、嘘だよな、え、嘘だよね?さすがに嘘だよね?と自信が持てなくなって行った。

なので、急遽助っ人を呼ぶ。



「灯くん!!カモン!!」



そう、我らが中継役・灯くんである。

しかし呼んでから気付いてしまったけれど、心くんと付き合い始めたあたしは少し気まずい立場なのかもしれない。

が、時既に遅し。



「和歌どうしたの?」

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