†captivity†(休載)


「え、東先輩もう玄関で待ってるの?」

「心、来てないから、帰るって」



そうか、東先輩だって1人で特別教室に居たって暇だもんね……いや、暇か?

普段から人が居ようがいまいが関係なく本かパソコンに集中してる人が……暇という概念を持ち合わせているものなのだろうか?



考えてみれば、彼もまた心くん並に謎な部分が多い。

元は穏やかな人だった、とは聞いてはいるけれど、本当にそれだけ、あとどこまでも鬼畜、口が悪い、考えてることが解らない。

彼の本質というものを、あたしは何一つ理解していないと思う。

一度踏み込んで喧嘩までしたけれど、結局なにも話して貰えていない。





玄関を出ると、タルそうに壁に寄りかかっている彼と視線が合う。

そして眉を思いっきりひそめられ……え、まって睨まれてない?

あたし顔見せただけで睨まれてない……?



壁に寄りかかっていた体を離し、ズンズンと鬼のような形相であたしの目の前まで来た彼──東先輩は、逃げようかと首ごと視界を反らしたあたしの頭を上から鷲掴んで来た。

なになになになになに!!?

大パニックなあたしの脳裏に過ぎるのは、今朝のこと。

心くんと付き合うことになった話。

まさかもう知られていて、しかも怒っていらっしゃる……!?



視界の目の前に現れた灯くんに目で助けを訴えるが、顔を反らされてしまって絶望。

す、捨てられた……!?



気持ちジワジワと頭の上にある手の力が強まっているような、いた、いたい、いたいいたい痛いです!!



バッと振り払ってから東先輩を見上げると、今度は頬を掴まれ、まともに視線がぶつかって逃れられなくなる。
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