†captivity†(休載)
「弟のことはわかった。綾愛にもプールに付いてくることを話しておく」
長いキスを終えると、心くんはそう話してくれた。
どうやら納得してくれたようで、ほっと一安心する。
「お願いします。知歌にも話しておきます。ちょっと怒られちゃうかな」
「怒られた時は矛先を俺に向けさせろ。いくらでも受けてやる」
そう言ってフッと笑う彼に、また心臓が鷲掴みにされたように、ギュンと締まる。
頼りになる、というか。
姉弟間のことでも一緒に考えて、背負ってくれるのかと、そういう思いやりにまたひとつ彼を知って、好きになっていく。
こんな調子できっと、プールに行く頃にはとんでもなく彼のことが好きになっている、そんな予感まである。
この想いは、止まることがあるのだろうか、好きすぎて重くなったりしないだろうか、少しの不安も混じる。
まだ、あたしたちの関係は、始まったばかりだ。
「はっ!!」
「どうした?」
ソファーからふとベッドに視線を向けた時、その袋が目に入って思い出す。
今日が終わる前に、渡さなければ!!!
そしてプレゼントタイムが始まったのです。
「心くん、改めて誕生日おめでとうございます」
そう言ってあたしの買った分のその袋を彼に渡すと、とんでもなく優しい笑みと共にそのプレゼントごとあたしを抱き締めた、心くん。
まって、プレゼント受け取って。
確かに今日はあたしごとプレゼントではあったけれども、プレゼント受け取って。
「ありがとう、和歌。大切にする」
「せめて中身をみてからそれ言ってください。ていうかなんで誕生日だって話してくれなかったんですか?」
「あー……忘れてたから。和歌の誕生日は忘れないから大丈夫だ」
「まって、それもまだ教えてないはずの情報……!!」
ちなみにあたし達の誕生日は4月、心くんと出会った時には既に終わっていたので、次回は季節を三つ跨ぐまでお預けだ。