†captivity†(休載)
心くんにプレゼントしたものは、イルカの付いたストラップだった。
時間が無くなってショーは見れていないけれど、泳ぎ回っているイルカたちは見ることが出来た。
このストラップを見て、またいつか水族館に来た時にイルカたちを一緒に見たいね、と思って。
ペアになっていてあたしも付けられる、薄いピンクと青のストラップ。
彼はまた幸せそうに笑って、あたしを抱きしめてくれた。
彼の誕生日にデートして、トラブルもあったけどみんなでお祝いして、二人でもお祝いして、大好きな心くんにたくさんたくさん抱きしめられて。
なんてあたしは幸せ者なんだろう……。
柔らかく抱きしめ返しながら、あたしはとてもとても満たされた気持ちに浸っていた。
その次に今度は心くんがお土産の袋を渡してくれて、その中には本当にフグと亀と……なぜかチンアナゴのぬいぐるみまで入っていて。
フフッという笑いを隠せず、幸せで口角が上がりっぱなしだった。
「和歌」
「なに?」
そっとあたしにキスをした心くんは、ゆっくりと頭を撫でてくれる。
「デート、楽しめた?」
「もちろんです。心くんこそ、今日の主役なんだからちゃんと楽しめました?」
「もちろん。いろんな和歌が見られてすごく楽しめた」
「だから、魚を見てくださいってば」
そういえば、綾愛さんに撮ってもらった写真はどうなったんだろうか。
あたしはまだ確認していないけれど、出来ればデータをもらって待ち受け画像にしたい。
「心くん、フォトスポットの写真って綾愛さんから貰いました?」
「あぁ、アレ悟のところに真っ先に飛んでっただろうな……」
「へ!!?」
まさかの情報にあたしは凍り付く。
あの浮かれたバカップル感満載の写真が……東先輩の手に……?
「綾愛のやつ本当に悟にだけは忠実だからな」
「あたしたちの写真必要です!!?」
「悟も心配性な所があるから、それを拭いたかったんだろうな。だからあの場面で隠れていたはずの綾愛が出てきてわざわざ撮ってったんだよ」
あぁ……綾愛さんの登場から彼はわかっていたのか……。