君が好き
その子はぐちゃぐちゃの泣き顔なのに驚いていて。
いくつもの涙の痕がある顔。
大きく見開かれた目には涙がたまっている。
それがなんだか。
なんかさ。
「ふ、ははははは!」
なんだろう。
面白いんだよ。
こいつ、死のうとしてたのに。
今は、こんなびっくりしてる。
ちゃんと、生きてんだよ。
生きてんだよ。
「会長…?」
「あー、なんか、楽しいな」
ちゃんと生きてんだよ。
近寄ると見えた、
上履きに書かれた名前。
「…高橋、清香?」
こくりと頷く彼女。
ほんの少し微笑んだ顔。
なんだ、こんな顔するんだ。
さっきの鬼気迫った顔より。
驚いた顔より。
ずっと可愛い。
「ほら、降りるぞ」
手を引いて降りようとすると、ほんの少しだけ抵抗を見せたが、
すぐに大人しく淵から降りた。