猫人・人猫
「普通に高校卒業して、大学行って、就職して、結婚……それが理想的な平凡生涯プラン?」

おたまは完全に目を閉じ、熟睡モードに入る。
私も彼女の隣で寝転がり、ボーッとしながら譫言のように独り言を繰り返す。

「でも、その平凡な生涯が難しかったりするのかもね……何か壁があるんだよな。人生ってそんなものか」

まだ十七の若造が、何偉そうに人生を語っているんだか。
おかしくて、自分でも少し笑ってしまう。

「……人間って、めんどくさ」

平凡平凡と思って生きている現在も、案外複雑な出来事が絡み合って出来ている。
良く考えると、人間て本当に面倒な生き物だな。

あー、さっき、非現実的な出来事とか起きないかなって思ったけど、あれ脚下。
平凡でも面倒なのだ。
そんなことになったら、もっと面倒に違いない。

「猫になりたいなぁ……」

私の横で気持ち良さそうに眠っているおたまを見ると、悩みなんて何もないのだろうと思い、羨ましくなる。

「進路で悩まなくて良いしさ、一日中寝てたって怒られない……自由気儘で良いよねー」

そんな独り言をブツブツと呟きながら、おたまの耳にそっと触れれば、起きはしないもののピクピクと反応する。
可愛い。





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