猫人・人猫
夕食の時間になると、家族全員が集まりキッチンも華やぐ。
美味しそうなカレーの匂いに、皆の顔も綻んでいる。

「あら、おたまちゃん」

勿論、おたまも来る。
彼女はそそくさと自分の餌場へ向かい、可愛らしいピンクのトレイに用意された餌を食べる。

おたまは、人が食べているものを強請ったりしない。
きちんと自分に用意されたものを食べ、終わればリビングへ行き、皆が食べ終わるのを待っている。
良く出来た猫だと思う。

「そうだ、アンタ、今度三者面談あるじゃない」

「うん」

「日程ってまだ聞かされてない?」

「まだ」

「プリント貰ったら早く見せなさいね。予定調節大変だから」

「うん」

年に一度の三者面談。
もう間近に迫っている。
昨年は一年だったから、担任と親の挨拶程度だったけれど、今回は違うだろう。
二年だし、進路について聞かれるだろうなぁ。
まだ全然決めてないや。
将来なんて漠然としてて、全くわかんない。

そんなことを考えていると、せっかくの美味しいカレーも進まない。
まだ早いかもしれないけれど、将来を考えると胸がいっぱいになるのだ。

「むっちゃんは将来、何になりたいの?」

急にお祖母ちゃんから発せられた言葉に、私は思わず箸を止めた。





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