瑠哀 ~フランスにて~
「あなた達に来て欲しくない、と言ったの」

「それは、どういう意味だ?」

「その言葉の言った通りよ」

「じゃあ、君も行かないのか?」


 瑠哀は目だけで笑う。


「行くんだな。だったら、なぜ、そんなことを言うんだ?」

「正直に言うと、あなた達が邪魔なの」

「邪魔?僕達が、邪魔だと言ってるのか?」


 瑠哀は頷いた。ピエールは顔をしかめ、冷たい眼差しを瑠哀に向ける。


「僕は君の友人だと思っていたんだけどね」

「私もそう思っているわ」

「それなのに、僕達が邪魔、だと言うのか?」

「ピエール、やめるんだ。

ルイが本気じゃないことくらい、判っているんだろう?

―――ルイ、君もそんなことを言って俺達を止めようとしても無駄だよ。

俺達は君と一緒に行くつもりだからね」

「それは、無理よ。

あなた達は、彼の家に入ることができないわ」


「――マーグリスに何を言った?」

「なにも。ただ、ケインにはちょっとね……。

あの男なら、必ず逆上して反撃して来るでしょうね。

だから、屋敷を少し封鎖するように言ったの。

あなた達は、そこに含まれていないの」

「なるほどね。なかなか、手回しがいいようだ。

俺達は、ここで足留め、と言うことが」
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