瑠哀 ~フランスにて~
「私を最低な女だと思って。

あなた達を利用するだけ利用したから、後はポイと捨ててしまうの。

最低な女なの」



 瑠哀はそこまでを言って、一度、口を閉ざした。

 そして、二人に向かって顔を上げ、



「今まで、本当にありがとう」


と微笑んで、そのまま踵を返して部屋から出て行った。



 そこに残されたピエールは苦い顔をして、大きな溜め息を吐き出していた。


「やってくれるな、まったく」

「なんだい、君はあれくらいで引き下がるのか?

ルイの性格から言って、いつかはこうなるんじゃないかと俺は思ってた。

だから、特に驚きはしない。

それ以上に、益々、彼女から離れるべきじゃない、と確信した。

今、彼女を一人にするのは危険だ。

あの目は、絶対何かを企んでいる。

きっと、なにかしでかすつもりだ」


 ピエールは少し驚いたように顔を上げた。


 そんなピエールに、朔也は大きな笑みを浮かべ、浩然とした態度でピエールに言う。


「俺はルイから離れちゃいけない。

なぜ、ルイが気になるのか判るまで考えろ―――と言ったのは、君だよ。

こうなったら、とことん彼女につきまとうだけさ」
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