瑠哀 ~フランスにて~
『ルイ、俺は無力だ。

君を救すけたいのに、どうしていいのかわからない。

でも―――、それでも、君の力になりたいんだ。

一人で苦しんでいる君を、一人になどできない。お願いだ。

何があったか話してくれ。そんな風に、一人で苦しまないでくれ』


『私…に、優しくしない……で………』

『ルイ、そんなふうに俺を拒絶しないでくれ。

俺は、君が心配なんだ。

君を離す気はない』


『おねが――。一人に……し、て――』


『ルイ―――。

俺がついている。

君の傍にずっといる。

だから、苦しかったら、そう言っていいんだ。

そんなふうに、一人で苦しみを抱える必要はないんだよ』



 朔也は体を起こし、少し屈んで瑠哀の頬を優しく包み込んだ。


 せつなげな哀しい瞳を真っ直ぐに瑠哀に向け、そっとその口唇を瑠哀の口唇に寄せた。



 そして、大切そうに、とても優しく朔也は唇を重ねる。

 瑠哀の口唇を包み込むように、朔也は唇を深く重ね出した。



 その口唇から感じる朔也の暖かい体温と、優しい鼓動が、瑠哀に伝わって行く。
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