瑠哀 ~フランスにて~
 瑠哀は不気味なほど淡々とした口調で話す。


 その顔にはまだうっすらとした口だけの笑みが浮かべられていた。


『ルイ―――。何をするつもりなんだ?』

『そろそろ、サシで話をつける必要があるでしょう?

私はいつでも準備ができている、とあの男に知らせてもらいましょうか。

どんなにリチャードがケインを抑えようと、ケインは黙って手を引くような男じゃないわ。

来るなら、来てもらいましょうか。

私も本気を出すわ』


 そう言って、瑠哀は口の端だけを微かに上げ、凄絶なほどの妖しい輝きをその瞳に浮かべたのだった。


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