瑠哀 ~フランスにて~
 まだ動かない瑠哀の腕を朔也が引き寄せ、自分の前に座らせた。

 腕を伸ばして、瑠哀を包み込むように抱き入れて行く。


「お休み、ルイ。

俺達がいるから、今は安心して休むんだよ」


 そっと優しく耳元で朔也が囁いた。


 瑠哀は微かに戸惑っていたが、肌に感じる朔也の暖かさが体中に染み渡って行くようで、

今まで凍らせていた全身が溶け出して行く気分だった。


 瑠哀は朔也の胸にそっと頭を寄せ、瞳を閉じて行く。

 その瑠哀を、朔也がとても優しく抱き締めてくれる。



 トクン、トクン、と朔也の鼓動が、優しく瑠哀の耳に伝わってきた。

 自分に、こんなに暖かで落ち着く場所があったなんて、瑠哀は知らなかった。

 ここに来て以来初めて、眠りにつける自分がいたのだ。



 この腕の中で――――

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