瑠哀 ~フランスにて~
「…すごい人ね。彼をどうやって探すの?」



 瑠哀は予想以上に大きなパーティーを見て、当惑した顔を見せた。

 隣にいる朔也も小さな溜め息をつく。



「そうだな。まあ、知り合いに聞く、と言う手もあるが――」

「僕関係の人間もいるけど、ここら辺で結構名が知られているんだろう?

そう、難しいことじゃないさ」


 ピエール関係は判るけれど、朔也関係とは、やはり只の学生ではないのだろう。



 それは置いておいても、明らかに見られている。

 ここに着いてからこの会場に入るまで、そして今も見られていた。

 一人でもかなり目立つ容姿なのに、二人一緒にいるものだから、それは並の目立ち方ではなかった。



 これはある程度予想していたから、仕方がないとは思っている。

 この二人も見られていることに慣れている様子で、特に気にしていなさそうである。



「みんなが振り返るのね。

二人ともいい男で羨望の的だもの、仕方がないか」


 ポツリと言って、瑠哀は人垣の方に眼をやってそれらしき人物を探す。


「僕たちが見られている?」


 ピエールは顔を朔也に近づけ小声で言う。


「これだけの男達が、君と僕を気に入ってるとは知らなかったな」


 朔也は眉を寄せる。


「それは、俺も知らなかったな」

「僕たちが眼を離したらさらわれてしまいそうなのは誰かな。

フランス男がルイを見逃すはずはないと思うけどね」

「まったく。これほどとは思わなかったな」

「惚れ直したのは、僕達の方だったりして」
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