森の人
そんな中、澤山のその笑顔はどこか寂しげで、心は満たされていないようだった。

「拓也、これ好きでしょ?」
「よそってあげる」

茜が拓也の世話をする度に、複雑な気持ちと痛みが、澤山の心を襲う。

そしてそれは、日が暮れて、闇が景色を黒く染めていくのと同じように、夜、布団の中で眠りにつく時、闇となって澤山の心を黒く染めていく。

『僕は、拓也に…。男に恋愛感情を?』

『いや、そんな事、ある訳がない』

『でも…。でも、何でこんなに、胸が痛くて苦しいんだろう』

考えれば考える程、濃くなっていく闇。

心の葛藤に苦悩する日々が始まった。
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