森の人
「きっと、このまま逃げていても何も始まらない」
「動き出した森に立ち向かって、出口を見つけよう。きっと、この恐怖の先にあるはずだ」

「何を根拠にそんなことが言えるの?」

落ち着きを取り戻したサヤカが尋ねた。

「俺はあの女性に
『五つの恐怖を五人の仲間と共に乗り越えた時、扉が現れるでしょう』
と言われたんだ」

「五つの恐怖?」

コウヘイが冷静に尋ねる。

「ちょっと待って。これから先、五つも恐怖があるの?冗談じゃないわ!」

まだ興奮が冷めない茜が、再び取り乱し始めた。

「大丈夫」

茜の肩を抱き、優しくも包容力のある声で囁く拓也。
その腕の中で、茜はようやく落ち着きを取り戻した。

「何か策でも?」

茜が落ち着くのを待ってから、コウヘイが言った。

「まず、一つ目の恐怖、あの巨大な獣を倒すんだ」

「どうやって?」

「キノコだ」
「もう、この森が平和な森じゃなくなったのなら、きっと毒キノコがあるはず。毒草もあるかもしれない」

「それから、武器を作るんだ」

辺りの様子を見ながら拓也は続ける。

「この薙ぎ倒された木を使って木の槍を作ろう」

「後、火も使える」

そう言ってポケットからライターを取り出した。

少しずつ希望が湧いてくる。
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