森の人
「ここから逃げよう」
と、拓也。
「逃げても森の制裁が…」
澤山が弱気に言う。
その言葉に空気が沈む。
「誰かを犠牲にするよりはいい」
沈んだ空気を奮い立たせようと、奮起する拓也。
「それに、五つの恐怖を五人の仲間と共に乗り越えた時、扉が現れる」
「みんなで協力して、森の制裁に立ち向かうんだ」
「そして、その間に五つ目の恐怖を克服すれば助かる」
拓也の前向きな言葉に、晴れてくる空気。
しかし、
「五つ目なら、もう始まってるわ」
サヤカが顔を強ばらせて言った。
「え?」
顔を曇らせる茜。
「茜が三匹目の獣に連れ去られた時からね」
どんよりと空気が重くなる。
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