蕾~始まりへの旅~
「私はきちんと説明したつもり。1人の男に執着する気はないって。それでもいいからって、彼が言ったのよ。女はね、たくさんの人に愛されるほど美しくなる、輝くんだって私思うの。」

あたしは後半、華田さんの声がまったく頭に入ってこなかった。
どんな顔をして話しを聞いていたのかわからないけれど、華田さんはチラリとあたしの顔を見るとすぐに黙った。
しかし、目にはあの微笑を残して。

男性も当たり前の事のように彼女の話しに聞き入って、うなづいていた。

それではと2人は軽く会釈して去って行った。
すぐに背後から楽しそうな話し声が響いてきた。
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