蕾~始まりへの旅~
やっと目的の喫茶店につき、勢い良くドアを引いた。
窓際に座ってぼんやり外を眺めていた谷山があたしを見て目を丸くする。
無理もない。今まで全力疾走で走り続けたあたしは息も切れ切れ、無意味に焦っていた。

「よぉ。急いだ?」
谷山の言葉を無視してあたしはゆっくり椅子に腰掛け、息を整えた。
「雨、止んで良かったよなぁ。」
「でも、また振りそうじゃない?」
アイスティーを頼んでから、あたしは初めて口を開いた。
「この寒いのにアイスティー??」
「あたしは暑いの。」
素っ気ない態度をとっても愉快そうに笑う彼。
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