極上御曹司のイジワルな溺愛
こんな時、どんな顔をするべき?
「な、なんか、よくわからない展開になりましたね」
少し引きつったような作り笑顔で蒼甫先輩に話しかけると、ふんっと鼻で笑われる。
「元はと言えば、お前が元凶だろ」
「元凶……」
何を言うかと思ったら、人を悪の根源扱いするなんて信じられない。
そりゃね、勝手に動いたのは私の早合点かもしれないけれど、いくら先輩でも“元凶”は言い過ぎじゃないですか?
面白くない──
頬を膨らませ憤慨してみても、蒼甫先輩は素知らぬ顔を決めている。
ごめんの一言でも言わせないと気がすまない。
息も荒く蒼甫先輩に近づくと、すっと伸びてきた彼の手に自分の左手を取られる。
「飯行くぞ」
「え? 飯って……」
薫さんも里桜さんも帰ってしまったのに、こんな時間からふたりで夕食を食べに行くの?
しかも手をつなぐなんて、どういうつもりなんだろう。
蒼甫先輩の考えていることがわからなくなって、繋がれている手を見つめた。