極上御曹司のイジワルな溺愛
そのままゆるりと抱きしめられ、背中を手のひらで撫でられると、体も一気に熱を帯びる。
こめかみにチュッと音を立ててキスされ、唇が首筋へと移動していく。目を伏せその仕草にされるがままになっていると、蒼甫先輩が笑った……ような。
ふと現実に戻されて閉じていた目を開ける。すぐに私を見つめていた蒼甫先輩と目が合い、その距離に「あっ」と声を上げてしまう。
「どうした? いつもなら俺が何か言うと噛み付いてくるのに、今日は素直な反応で、このままだと止められなくなりそう」
「そ、そんな、人のことを、猛獣みたいに言わないでください」
ちょっと前までの蒼甫先輩は何故か私には優しくないから、なにか言われたら確かに噛み付いていたかもしれないけれど。
好きな人のことは何だって好き──
今となっては状況が違う。
ふたりを纏う空気は、甘いものになってしまっている。
このまま蒼甫先輩に抱かれてもいいかな……。
ぽわんとなった頭でそんなことを思っていると、その片隅にニヤリと笑った薫さんが顔がかすめた。