極上御曹司のイジワルな溺愛
「カチャッ」
蒼甫先輩が後手に鍵をかけた音が聞こえ、彼の部屋でふたりっきりになったことにゴクリと生唾を飲む。
いや、今この家には私と蒼甫先輩しかいないから、もともとふたりっきりか。
なんて。悠長に考えていると蒼甫先輩が私の腰に腕を回し入れ、いとも簡単に抱き上げてしまう。
「いやっ、下ろして」
「夜中だぞ。うるさい、黙れ」
今日二回目の『うるさい、黙れ』だ。夜中って言ったって、私と蒼甫先輩以外、誰も居ないじゃない。
黙って、唇を尖らせる。
でも数時間前に言われたものより柔らかで甘く聞こえるのは、好きの気持ちが重なって体が密着しているせいか。
そのままおとなしく抱かれていると、大きなベッドの上にぽふっと下ろされた。
「きょ、きょうのところは我慢するって……」
だから心の準備ができてません!
目で訴えてみたけれど、どうも相手にされていない様子で。ベッドの上がり私に近づくと、背中側からすっぽりと抱きくるめられてしまう。
「何もしない。今晩はな」
温かな息を首筋に感じ、そのぬくもりが全身へと広がっていく。
「こ、怖かったぁ……」
自分でも気づかないうちに緊張していたのか、処女でもないのに乙女のような言葉が口をついて出る。