極上御曹司のイジワルな溺愛

安西さんの息子の披露宴は、予定通り滞りなく進んでいる。

新郎新婦の幸せそうな顔を見ていると、私の心もほっこり温かくなっていく。

「さて皆様。ご歓談中ではございますが、ご案内申し上げます。これより新婦は、お色直しのために中座させていただきます。エスコートは新郎、雄大様でございます」

大きな拍手の中、新郎新婦が会場の出入り口まで移動する。

「ここで皆様にご挨拶をし、ご中座でございます」

頭を下げ挨拶をするふたりを見送ると、マイクを持ち直した。

「お二人のお支度が整いますまでの間、どうぞごゆっくりお料理をお楽しみください。皆様のテーブルには、メインのお肉料理が運ばれているかと思います。どうぞ温かいうちに、お召し上がりください」

新郎新婦が中座中に祝電披露を済ますとマイクのスイッチを一旦切り、ふたりが戻ってくるまでしばしの間、進行表を見直しながら司会台から会場の様子を窺う。

列席者が料理を食べながら、あちらこちらで会話の花が咲いている。

披露宴も中盤。今のところ問題はなさそうだとキャプテンに目配せすると、その後ろに里桜さんの姿を見つけた。

里桜さんも私が見ていることに気づいたらしく、にっこり微笑むと司会台のところまでやってきた。



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