極上御曹司のイジワルな溺愛

「MIYABIの事務所にもいませんでしたか?」

「ええ。事務の女の子に聞いたら、今日は事務所には行かないと連絡があったって」

薫さん、何してるんですか。逃げたって、何の解決にもならないのに……。

私まで溜息が漏れてしまう。

「里桜さん、実は今朝……」

薫さんが里桜さんから逃げている理由のひとつが、もしかしたら私かもしれないと思うと、居ても立ってもいられない。

あのときは興奮してしまい、売り言葉に買い言葉で彼を責めてしまったことを里桜さんに伝えた。

「そう、そんなことが……。里中さんにも嫌な思いをさせてしまったわね。ごめんなさい。でも、あなたが気にすることないわ。悪いのは全部わたしなんだから」

自分を責めているのか、里桜さんは頭を振りながら頭を抱え目をつぶる。

「何があったのか話してくれませんか?」

里桜さんと薫さんが抱えている問題は、私なんかに解決できることじゃないのかもしれない。だからこそ、蒼甫先輩は「やめておけ」と言ったんだと思う。

だからって、ふたりが辛そうな顔をしているのに、見て見ぬふりはできなかった。

また前みたいに、他愛のないことで笑ったり、出来上がったウェディングドレスを見て感激し合うふたりの姿を見たいと思うのはいけないこと?

里桜さんが今のままじゃ仕事ができないように、きっと薫さんだって同じ気持ちだと思う。

もちろん私も、そして蒼甫先輩だって同じ思いだ。



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