極上御曹司のイジワルな溺愛
「最近の奈々はわがままがひどくて。三人で食事をしているとき、ちょっと注意をした薫さんに暴言を吐いて」
「それって、どんな?」
「うるさい、黙れってね」
あれ? そのセリフ、誰かさんもよく言うような……。
「でもそれ、六歳じゃ早いですよね。それで薫さん、怒ったんですか?」
「ううん、全く。怒るどころか、奈々にごめんねって謝るんだから、お人好しにも程があると言うか良い人過ぎると言うか……」
ほんと困っちゃうわよね──と付け加える里桜さんの顔は、愛しい人を想っている柔らかい微笑みで。
薫さんのことを心から愛しいるんだなぁ~と、応援したい気持ちが大きくなっていく。
「薫さんらしいですけど、里桜さんの言ってることもわかります」
「でしょ。薫さんって一見チャラそうに見えて、あれで根はものすごく真面目で。奈々のことが大切だからこそ、自分では奈々の父親にはなれないと言って、ある日突然姿を消してしまって」
それで今朝、「好きという気持ちだけじゃ、どうにもならないこともあるんだよ!」と大声を上げたんだ。